9月5日
平家物語の恋騒動 2007-09-04
私が受講する平家物語を読み通すも、だいぶ進行しま
した。平家物語は平家の勃興と隆盛、やがて衰退の
物語です。だから大抵の話は男共の争いと戦いの話
ですが、中には珍しく恋物語が有ります。それが小督
(こごう)と言う訳です。
高倉天皇は平清盛の次女(後に建礼門院となる)を中宮
(複数の皇后が立てられたときに最初に立后された皇后
以外の妃)に迎え、或いは、迎えさせられ、その御子安徳
天皇に早々と位を譲られ、或いは譲らされたが、風流を
愛し、慈愛深い院であった。
中宮:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%AE%AE
その院は中宮付きの女房の童で葵前と言う少女を愛した
が、いろいろ取り沙汰するものが有ったので、世間の非難
を憚って、逢うのを辞めた。少女は、院の心を知り病臥後
数日で没した。
嘆きに沈む院を見兼ねた中宮が自分に使えていた女房
の小督を院のもとに差し出す。小督は桜町中納言の娘、
絶世の美女で琴の名手であった。正妻が傍女を差し出す
と言うのが、よく判らないが、そうはっきりと書かれています。
院は小督を愛し、一見落着と見えたが、清盛の横暴、多分
最後の横暴が始まる。
この小督は冷泉大納言隆房がまだ少将の頃、見染めた
女房であった。その隆房の妻は清盛の娘の一人であった。
清盛からすると、2人の婿、高倉院と隆房とが小督を愛し、
つまり自分の娘の面子を失わせたことになる。おのれ、
にっくき小督め、ひっ捕らえて亡きものにするぞと叫ぶの
であった。ま、亡きものと言っても。この場合、相手はか弱き
女性である。出家させれば済むのだが。
これを伝え聞いた小督は「私はどうなってもいいが、院の
身の上に若しものことが有っては・・・」と宮中を去って、
行く方知れずとなる。それでも清盛は、お世話をする女房も
差し出さず、参内する臣下にも睨みを利かせたので「入道
(清盛)の権威に憚って参り通う人もなし。男女うちひそめて、
禁中(宮中)いまいましうぞ見えし(陰鬱であった)。
ただ清盛さんの味方をする訳ではないが、この頃の清盛は
いらつくことが多くなってきていた。外孫を天皇にすると言う
絶頂を極めながら、思いどおりに行かないことが起こり始め
たのである。それが福原遷都、1180年治承4年であった。
この年、平定はしたが源三位頼政、以仁王の反乱が有った
年である。
http://www6.plala.or.jp/HEIKE-RAISAN/jikenbo/fukuharasento/fukuharasento.html
http://homepage2.nifty.com/lame-ru/genpei/siseki/sento.htm
多くの在来勢力(寺社も含む)の反対を押し切って強行した
福原遷都であったが、悪いこと(準備不足による手違い、不
具合)が続けて起こり、また強硬な反対意見にも逢って、
同年に京都へ戻るのである(実は京都もガタガタになってる)。
海外貿易で財政を運用しようとしていた清盛にとっては、日
宋貿易の港である大輪田泊りを見晴らす福原の地を都にした
かった思いはよく判る。そして、なんともあっけないことに、こ
の翌年、清盛は死んでしまうのである。平家の衰退を予感さ
せるには、充分な事件となりました。--続く--
昔きりぎりすとはこおろぎのこと 2007-08-30
高校時代の国語の時間だったか、古文の時間だったかに、教
わった記憶があるのですが、江戸時代(辞書には平安時代から
と書かれている)には、きりぎりすとは、今のこおろぎのことだと
聞きました。で、その時に芭蕉の俳句
むざんやな甲の下のきりぎりす
が、その例として出されていたと思います。きりぎりすは主として
草むらに居て鳴き声は、ギーとかジーと言う音が2秒ほど続いて、
3秒程中断するのを繰り返します。体長は3~3.5cmで色は
緑で、動きは敏捷。素手で捕まえるのは難しい。鳴くのは昼間が
多いです。
http://contents.kids.yahoo.co.jp/zukan/insects/card/0563.html
(この中で、きりぎりすもこおろぎも紹介されている)
こおろぎは、主に石の下などに住み、鳴き声は、コロコロとかピリ
ピリと5~6秒程鳴き、中断も5~6秒になる。鳴くのは夜が多い
です。色は黒っぽい茶色。動きは素早いですが、時には人の目の
前で、じーっとしている時もあります。素手で捕まえることも可能
です。中国ではオスのこおろぎを闘わせる闘蟋が有名です。今は
そのシーズン真っ盛りでしょう。
さて、むざんやなの句だけで、ここでは、きりぎりすはこおろぎです
と言われても、何か他に証拠は有りますか?と聞きたい気がします。
ところが芭蕉とほぼ同時代の俳人、丈草の句を見ると、これなら
きりぎりすがこおろぎだと言うことに納得できるような気がします。
連れのあるところへ掃くぞきりぎりす
寒けれど穴にもなかずきりぎりす
行灯に飛ぶや袂のきりぎりす
箒を持っている丈草の前に出てきたこおろぎが、動かずにじーっと
している。庵の外で鳴いている仲間のところへ掃き出すよと心優しい
丈草が目に浮かびます。
但し、鳴くこおろぎはオス。丈草の目の前のこおろぎがオスなら、
敵の居るところへ掃くぞきりぎりすと詠まなければならなくなります。
文英堂:全解古語辞典:きりぎりす
【蟋蟀】虫の名、コオロギの古称。
コオロギ科の虫を総称していう。雄の成虫は秋に鳴きその鳴き声は
賞美の対象となった。